■ 痛風のニュース -4- 「女性にも増えた痛風」
患者さんが問診票で、よく書き間遠える病名に「通風」がある。正しくは「痛風」だ。痛風は非常に古い時代から知られた病気で、ぜいたく病とも言い習わされてきた。
体内に尿酸がたまって「高尿酸皿症」となり、さらに関節炎を引き起こした状態が痛風だ。読んで字のごとく風が触っても痛い疾患で、一度かかると忘れられない。足先がピリピリする前兆が出ると「やばい」と駆け込んでくるなじみの患者さんもいる。
尿酸はDNAやRNAなどの構成成分であるアデニン、グアニンの最終産物でプリン体に属する。食物中に多く含まれるプリン体を食べ過ぎないのも大切だが、尿酸の大部分は体内で合成されてしまう。一切肉食をしない人でもかかることがあるのだ。
尿酸が蓄積するとガラスの破片のようなとがった結晶を作る。これらが皿管を通じ体中を走り回り、足先、特に母趾(ぼし)基関節や耳たぶの先、膝(ひざ)など血管が細くなったり曲がったりする場所に集まる。たくさんの矢が刺さるかのように腫れ上がり、皮膚まで赤くなるほどだ。また尿酸塩の結晶が結節することを「痛風結節」という。
尿酸は大部分が腎臓から、一部は腸管から排出される。腎うなどに尿酸結晶が沈着すると尿酸結石を作り、さらにシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム結石の核となって尿路結石を引き起こしてしまう。
この病気、圧倒的に中高年男性がかかることが多かったか、今ではビールの愛飲家が増えたせいか、若い女性にもみられるようになった。検査時に尿酸値が血液1デシリットルあたり7ミリグラム以上になると高尿酸血症で、これよりちょっと増えただけでも危険信号だ。重症の痛風は関節破壊と腎不全をもたらし、腎不全による尿毒症は死亡につながったが、今では治療薬の進歩でコントロールしやすい。
痛みは炎症性なので、患部にアイシングを加えたり冷湿布を張って安静にしたりし、もちろんアルコールは禁止。治療法としては、前兆期や激痛の発作直後にはコルヒチンが特効薬になる。また尿酸排出薬や生成阻害剤などたくさんの治療方法があるので、専門医に早く相談するといい。肥満や高脂血症、高血圧症などとの合併も多いので、基礎疾患の治療も必要です。
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